ありす名作文庫(嘘) | 1 | みんなでおべんとう |
★幼稚園のみんなは、普段どんな生活をしているのでしょう。ちょっと覗いてみました。 |
「ほらほら、しゃしんだよぉ」 |
ありす幼稚園のお昼休み。 きょうは、裏の土手でお弁当です。12人の園児達が集まって、楽しそうにはしゃいでいます。 「ありすちゃん、あーんして」 「ななちゃんも、はーい」 ふと、カメラを持って近寄る先生の姿に気づいた仲良し二人組。 「あっ、かめらだ!」 パチリ。 |
このみちゃんは、木陰が好きです。きょうも、早起きして自分で作ったお弁当を食べています(いつも、パパの分も作ります)。 おやおや、ちょみちゃんが近づいてきました。いつものことですが、何やら楽しげです。はっと顔を上げた瞬間、お弁当箱からたこさんウィンナーが消滅しました。 「あ…」 泣きそうな顔をするこのみちゃん。しかし、ちょみちゃん慌てず、自分のお弁当箱からサッとさくらんぼを取り出しました。 「これと、とっかえっこ!」 このみちゃんは、困ったような呆れたような表情で頷きます。パチリ。 |
「これとこれ、とっかえっこね」 |
「あい、あーん」 |
ティキちゃんは、相変わらず独りぼっちでサンドイッチを食べています(みんなが声をかけても逃げてしまいます)。 そこに、ねねちゃん登場。 いちごだらけのお弁当箱から、マイフォーク(まだハシが使えませんから)でポテトをずずいっと突き出します。 「てぃーちゃ、おいも、たえてー」 (ティキちゃん、おいも食べて) 「oh…」 自分より小さい子なので邪険にもできず、ただひたすら耐える(でもちょっと嬉しい?)ティキちゃんです。パチリ。 |
鈴音ちゃんと樹ちゃんは、丸太に座ってお弁当です。 「うんとね、それでね──」 あら、すずちゃん。お話に夢中でご飯に手がついていません。いっぽう樹ちゃんは、話を軽く受け流しつつ(聞き上手です)好物のたこ焼をつまみます。 「なんやそれ。ぼくのほうがおもろいはなし、しっとるで」 「なによ、いっちゃん。だまってきいてよぉ」 けんかじゃないですよ。仲良しなんです。パチリ。 |
「あのね、あのね」 |
「へへーんだ」「なによ!」 |
おや、浩美ちゃんと小子ちゃんが(いつもの事ですが)喧嘩しているみたいです。 「なにするのよ!」 「アイヤーひろみ、かえしてほしかったら、とってみるアル」 「ふたりとも、どうしたの?」 「かみなぎさん。おべんとうをとった、シャオシーがぜんめんてきにわるいです」 「ムッキー! そーゆーなまいきなとこが、ムカつくアルよ!」 「ま、まあまあ。シャオシーさんおねがい、かえしてあげてね」 哉ちゃんが懸命に仲裁します。パチリ。 |
マリーちゃんは、みんなとは離れた所で、ひとりだけテーブルを用意して食事しています。でもティキちゃんやこのみちゃんと違って、寂しそうじゃありません。むしろイキイキしています。 「別に、皆さんが嫌いだからではありませんわ。私は静かに食事を楽しみたいだけ──って、さっきから山崎さん達のほうが騒がしいですわね……」 脇にあるワインは、「マリー・シャトー」という銘柄です。彼女が産まれた年に醸造したものらしく、まだ6年しか経っていませんが、その味は一流のソムリエすら唸らせるものだそうです。しかしこのワインは、彼女自身、もしくは彼女がすすめた人間にしか飲むことは許されていません。名前の通り、マリーちゃん専用のワインなんですね。 では最後の一枚。 パチリ。
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「ふふん」 |
写真撮影:いかがわ四郎 構成協力:きくらげ(しじみ屋本舗)…下図は、きくらげさんによる図案 今回の作品は二人の合作という事で、いろいろ相談しながら制作しました。 |
ありす幼稚園 Alice kindergarten |